香りを楽しむドリンクのスペシャリスト「香飲家」に学ぶ、季節のドリンクづくり＆フードペアリング講座

記憶に残るドリンク「香飲」を提案する専門家

五感のなかでも「香り」を最も重要な要素とした、かつてないノンアルコールドリンクを提案する「香飲家（こういんか）」。ラグジュアリーホテルや有名パティシエが手がける店のドリンクプロデュースを担当するなど、フード業界で知られる実力派ユニットです。

メンバー3名はそれぞれ、元バーテンダーやバリスタ、料理研究家など豊富な経験を持ち、様々なシーンに合わせた多彩なドリンクを生み出します。その香飲家から、片倉康博氏と田中美奈子氏が本レッスンの講師を務めます。片倉氏は元バーテンダーで、現在はホテルやレストランなどの顧問バリスタ、調理師・製菓専門学校の特別講師のほか、飲食店のプロデュースやコンサルティングを担当。田中氏はカフェ業界出身の料理研究家であり、商品開発やフードコーディネートなどを手がけています。

香飲家によれば、食事の際に実は「味覚」はほとんど記憶に残らず「香り」が最も記憶に残るそう。そのため「香りで味わっている」と言っても過言ではありませんが、ほとんどの人はその感覚に気づいていないといいます。本プランでドリンクづくりとともに「香りで味わう」体験をすることで、食のひとときをより印象的かつ豊かに過ごすきっかけが見えてきそうです。

すべての基礎となるフードペアリングの座学

まずは料理の基礎であるフードペアリングについて、片倉氏が講義を行います。「フードとドリンクの組み合わせは、相性次第でおいしさが重層的に広がります」と片倉氏。ペアリングの考え方や味覚の構造、ペアリングの事例などを理論的に解説します。

そもそも日本の食文化において、ドリンクは料理の「おまけ」として捉えられがち。ワインのような飲み物を中心とした海外の食卓とはギャップがあるといいます。ドリンクも料理と同じくらいこだわれば、食の世界はさらに広がります。さらにドリンクは調理方法が限られているため、誰でも比較的簡単に、特別な味わいを生み出せる可能性があるのです。

自宅で再現できる、香飲家直伝のドリンクづくり

ドリンクは、旬の食材を主役に、片倉氏・田中氏それぞれが考案したその時季ならではのドリンク2種類をつくり上げていきます。例えば、りんごを使った「ホットアップルサイダー〜ブリュレクリーム添え〜」。そのステップをご紹介します。

まずはりんごの上部から芯をくり抜き、くり抜いた部分にシナモンスティックを、さらにクローブを実の部分に刺します。トゲトゲした見た目がユニークなりんごを、りんごジュースを入れた鍋に丸ごと入れて煮込みます。

りんごの色が変化する様子や、立ち込める甘くスパイシーな香りなど、経過を五感で楽しみましょう。じっくりと煮込んだら煮汁をカップに注ぎ、仕上げにホイップクリームとカソナード（さとうきび100％でつくられたフランス産のブラウンシュガー）をのせ、バーナーでカラメル状に炙れば、ニューヨークの冬の定番ドリンク「ホットアップルサイダー」の出来上がりです。

2つでひとつの料理に。ペアリングの相乗効果を味わう

「ホットアップルサイダー」のペアリングには「リーフパイ」を用意。りんごとスパイス、香ばしいカラメル、リーフパイが口の中でひとつに合わさることで、焼きたてのアップルパイのような味わいが表現されます。

香りを生かすペアリングで最も重要なのは「バランス」だと片倉氏。口の中でそれぞれの素材が持つ力のバランスが均衡すると、今まで感じなかったような香りがふわっと広がるそう。香飲家が導くペアリングならではの体験に舌鼓を打ちながら、香飲家のメンバーとの貴重な交流の機会を楽しみましょう。

季節をめぐる香りと味わいを、香飲家とともに

季節ごとに素材が変わり、何度でも学びを得られるドリンクとフードのペアリングレッスン。片倉氏は「ペアリングには驚きや発見が伴うもの。家族や友人との会話もきっと弾みますよ」、田中氏は「組み合わせ方を意識すれば、他の食材に応用することもできます。ヒントを見つけて工夫して楽しんでください」と学びのコツを伝えます。

自分だけの特別な時間や、大切な人へのおもてなしに。ドリンクの専門家・香飲家に教わる芳醇な一杯を楽しんでみてはいかがでしょうか。